ひらめき☆マンガ教室 第6期 講義#1#2感想

こんばんは、聴講生のmawaranaiです。

ガイダンスのときに主任講師のさやわかさんが、聴講生に求めることとして、マンガの感想を書いてください、そして講義の感想を書いてください。と言っていたと記憶しています。まぁ別に反発する理由もないのかなと思い、記事にしてみました。とはいえ、いまはとっても後悔していますね。先にこっちを書いときゃよかったと。そりゃそうですよね。当然覚えてないですしね。

 

正確に言えば、

4/8(土)さやわか「導入──ひらめき1」

4/9(日)武富健治×さやわか「ひらめきとは──ひらめき2」

の2回あったので、ちゃんとやるなら2回分書くべきですよね。

 

「導入──ひらめき1」の方ですが、基本的にはさやわかさんがよく仰ってることとそれに基づく創作論かなと思い、聞いていました。特に気になったのは、マンガというのは天才がインスピレーションだけで作るもんじゃなくて、文法みたいなのがあるんだっていう話です。批判ではなく、そりゃそうかな、という気持ちで聞いていました。だって、まだ絵画の方が直感で描いてるって言われた方が納得感があるけど、マンガはね、コマ、割れてるし。コマがね、割れてるんだよね。コマ割れてるわ、同じキャラを何度も描くわ、大体キャラは状況説明してるし。創作物としても、とっても俗な部類なやーつだしね。印刷して大量頒布するところに本質あるよね。あと形態が本という物理に制約されてるしね。小説は活字情報だけあればどういう物理でもいけるけど、マンガはそうもいかないしね。とっても人工物だよね。

 

「ひらめきとは──ひらめき2」は、インタビューパートとネーム添削パートがありました。インタビューパート見てて、インタビューしてるな、と思いました。「漫画家になる!」を読んだときから微妙に思ってました。こういった大人の私塾って他をあまり知らないのですが、講義という名前なのに、インタビューを見ることってあんま無さそうですよね。だってさやわかさんの中にマンガ創作理論があり、その内容を講義する、という形態だって考えたと思うんですよね。でもこの形態の方が良いと考えたってことですよね。ガイダンスでそういえば、さやわかさんは、インタビューを通して漫画家の共通する創作理論のようなものを見出した、というようなことを言っていたと思います。であれば、同様に漫画家のインタビューを通して受講生に、そういったものを見出してほしい、ということなのかなと思いました。であるからこそ、さやわかさんがどういう質問することで引き出そうとするのかな、ということに興味がいきました。

 

正直思いついたこと、このくらいなんだけど、この二つの講義の感想になってる気は全くしないですよね。これを読んでも講義のことを思い起こされることは全くありませんもんね。書いてる人が覚えてないから当然ですね。次回からすぐに書きます。

ひらめき☆マンガ教室 第6期 課題1 完成稿 感想

スペースで話した感想と、感想を話すにあたって書いたメモです。

作品の話始めた時間をタイトルの横に描いてます

 

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赤い氷さん 彼女は妖性 0:01

話はこんな感じなのにペン入れが丁寧なのが良い

最後から2Pの最後の春田さんの目の下で笑った

十字架の後ろの絵でも笑った

「バレた?」がちょっと変

 

ばやしあきやさん はかせの一生 0:04

やっぱりまだわかりにくさが残る

隕石が落ちる可能性があるからその前に告白したかったのか、気づいた

思いを引き継いでいくっていうことと、物語とは

 

深田えいひれさん マンガ家志望者奮闘記 0:06

話が変わったことについて

かけあいものとして良い

お色気マンガについて

 

ぼんち。さん お兄ちゃん、ごめんね。0:09

よくなった

めくり逆なの気づかなかった。たしかにそうだわ。

1Pについて

2Pの足 11Pの兄が私を

アピール文

 

中山墾さん 満願寺さんのワンナイトハッピーアワー 0:13

名前の変更とタイトル

 

ひむかさん はじめの第一歩 0:16

4P良い

5P拡大

6Pちょっとはやい?

7Pはネーム通り素晴らしい

 

あい乙いなびこさん 図に乗る息子 0:20

表紙よくなった 文字数が少ないのも良い

お坊ちゃま感がより出たことについて

「うちにあるゲームで」大ゴマ

良い子に育ってます

 

やながわけんじさん 土日のふーん 0:23

すっごく良くなった 袋落とす・最後も

背景も良い

 

 

桐山さん 深夜徘徊 0:26

2P下のコマの背景

倉本さんの登場よくなった

ギャップ萌えもネームの時より感じる

顔のトーン

 

七井一汐(なないつ)さん 初見 0:29

最後のセリフの変更が良かった

 

藍銅ツバメ(らんどうつばめ)さん 推しの声の怪 0:31

ほぼネームまんま怪がでてきたの良かった。

最後の吹き出しも良い

 

くまのぶさん doWa 0:32

巨大樹が良かった

コマも整理されてる

枠線の太さ

 

大須健さん 小麦アレルギー男の最高デート計画! 0:35

全体的に良い変更

最後の3Pのグルーブ感

「デート当日」

 

藤原ハルさん さいごの散歩 0:40

変更みんな良かった

 

東京ニトロさん 091101 0:42

作画カロリーが高い

ほぼほぼまるまる変更

メタフィクションとしても良くなった

 

たにかわつかささん 委員長とテキトー円花 0:45

台詞減ってるの良い

 

ヤギワタルさん 忘れもの 0:47

タイトルのコマは後ろと差別化

11Pの変更が良かった

 

ねりけしさん 予想外のおしぼり 0:48

白い

 

ヤマオカ兄弟さん 誰かが見ている 0:49

キャラデザの統一性は気になるかな

P数UPも良い

ひらめき☆マンガ教室 第6期 課題2ネーム感想

スペースの感想と、感想を喋るにあたって取ったメモです。

タイトルの横にそれぞれの話し始めた時間を書いています。

 

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話すことメモ
・感想の方向性について
ネーム改善のアドバイスは意識しない 難しいから
商業誌を読むように

・課題について
パターンA つきつめることで嫌いなものの別側面・相対化

 

・感想
形井中へいさん 胸センサー 0:04
ビーム表現が重くなりすぎず、かといってバツの悪さ倫理さが担保されてる(フィクション的想像力の植え付け)
パターンAにいけない男女問題の根深さ
であるがゆえのオチの凄さ 公的→私的 絵的にも面白い
トイレの絵が話にかかわるとなお良かった
服についての言い訳がひとことあってもいいかも

 

明青りんご(あおりんご)さん 鬼山さんは厳しい。 0:08
スーパーA ちゃんと良い話だけじゃない終わりになってるのが良い
名前が良い 鬼山さん
めっちゃ怒られてるのに仕事できますキャラって両立するのかな
渋谷に意味があるか(→あとで思ったけど、渋谷で働いてることがプライドになってるから全然良いのかも。)
ちょっと左利きのエレン思い出した

 

アキオさん 告白 0:12
パターンA 人のうわさで態度を変える話なのが気になる(時間がとまったままというのもちょっと)。
1頁目のインパクトがすごく良い 最後のセリフも好き
女の子がちょっと嫌な奴だけど、なんかかわいい
話はがらっと変わるが、二人ともやなやつだよねってした方がキャラ的には良い感じな気がする

 

阿山カンフーさん にくのカンヅメ 0:15
嫌いの視点が一人だけ違う。嫌いなものをキャラが受ける→作者(神視点)が嫌いなもの (没案でも嫌いなジャンルを挙げている)
漫画はキャラ文化のため、嫌さは共有できない。よって、この作品でやりたいことが分かるには「作者は隙間が嫌いで、課題が嫌いなものを書け、だから」という作品外情報が必要
怪奇ものとしての純度を高める方向もありか
表紙があまり関係なさそう

 

ばやしあきやさん 布団は魔境 0:18
嫌いの種類が拒否感を伴うタイプでないため話の種類も他の作品とは変わる(課題の趣旨違いにはならないと思う)。
掛け合いギャグもの。ダメ人間ものとしてもよかった。
うるせーぬすっとは普通に吹き出しでよさそう
茶番とはいえ、星のことを考えている→自分のことを考えているなので一貫していない
ラストはひっくり返しが多くてちょっとついていけない。

 

深田えいひれさん 負け戦 0:22
主人公自身がダメ人間のもの。かけあいもの。
人々にどう思われるか話が多い。今回は良い方向に出ている。
出演順のこともセトリって言うの?
読み味にかかわるので、できれば服は着せてほしい
弱小プロダクションを建物で表すの難しそう(ビルの一室とかでは)
11Pの下は空のコマじゃなくて「・・・・・・」の吹き出し+アイドルたちの顔かな
12Pも背景が空なのはなぜ

 

ぼんち。さん 人の振り見てなんとやら。0:27
AっちゃAだけど、相対化がオチのためのおまけで、嫌い描写で読ませていく感じ。だからスカっとものに近い。
ツッコミがうまい。言葉選びとテンポ。
アピール文ではメイドさんが実は性格が悪いとあるが、おそらくそういう描写にはなっていない。胸描写はについてはもうちょっとコマをさかないとわからない


中山墾さん 飴屋ちゃんのイライラキャンディライフ 0:30
完全なスカっともの。
5Pのセリフがすげぇ良い。あんまり出てこなさそうなセリフ。
過去篇の嫌な奴は明確に別キャラと分かる方が、過去篇と飲み込みやすい
「おばさんだから大丈夫」は良いセリフなので、最後は主人公が言うのはどうだろう「おばさんだから大丈夫だなんて言わんでください」とか
「安売り」と「おばさんだから大丈夫」に共通するところに作家性を感じる

 

ひむかさん くるっと回ってまた一緒 0:34
完全なA。 主人公の変化を描いているのは挑戦的で素晴らしい。
相変わらず少ないページ数でドラマ描けてるなぁ。良い。
3人より4人の方が成立しやすそうな話だが、眼鏡三つ編みちゃんの役が無い
1コマ目と2コマ目は同じポーズが良い?キャラが多いから識別が大事。
つーかさ~二人もほんとにこれいいと思ってるの?というセリフにするには、「おそろい」パートがもうちょっとほしい感じがする。あるいはすぐに拒否した感じをだす
「いいですか?」敬語じゃない方がよさそう
「バカばっか」はいいものですよね~

 

ほりい泉さん 捨て 0:38
この漫画読んでて「こわ~」ってなったのは、ストーリー自体の非倫理さよりも、前作の「過度な推し活」に共通する、過度な癖が慣習や倫理を超えるところを描いているなとなったとこ。
「で」つなぎは普通に良い。感情が先行する感じがでてて
シリアスでどす黒い感情を中心のモノローグで「草生えて」が使われているのも面白い
アピール文のダイジェスト感はそこまで気にならなかった

 

あい乙いなびこさん ポルノ映画の初野くん 0:41
これもA 嫌いなものが2つあって、二つとも回収できてる
前作より話がちゃんとしてて、こういうのも描けるんだなと思った
あだ名が二つもあるのは、脳のリソースてきにどうか
ちなみに僕は「一人前だから名前呼びに変える」は実際にやられたら切れるだろうなと思った

 

やながわけんじさん トイレの片岡さん 0:44
嫌いなことはトイレットペーパーのことだとわからなかったけど、全然問題ないと思う
ちょっと距離のある男女の関係性話なのが前作との共通点(好き)
便利屋の説明がもうちょい早くほしいかな
ラストの涙が明確にどの感情かっていうのが一言じゃないのがめっちゃいい。
キャラがとにかくいい

 

桐山さん 君とセックスがしたい 0:47
蛙化現象に向き合っててよかった。
7Pで戻ったことが分かるのがほしい
神園さんが悟りすぎだけど、ほかに説明する人いないしな~
「君島君は違うと思ったのに」←たぶん蛙化する人はそんなにメジャーではない
11P→12Pがはやい
蛙の話した!

 

mangatime007さん ご機嫌いかがですが 敬丘千鶴さま 0:52
敬丘さんにルビがほしい
盗み食いじたバツで何をしている?掃除?
4Pの3分割のコマは何をしている?下のコマはたぶん逆
アピール文はゆるゆり見てないからわからない。設定は作品を活かすためにあるので、作品にでてこない設定の説明はいらない

内山勉さんに名前を変えるって話だったけど、サイトはそのまま

 

七井一汐(なないつ)さん スタバのOLトーク 0:55
すかっともの。ぬいぐるみ好きな変人という愛嬌をもたせてるのが面白い
2作ともネットの女性蔑視問題
「もう最悪」の入り方が気になった
「大体創作でしょうが」は「やっぱり創作だな」
「セクハラ上司が嫌いなだけです」・・・こ、これは・・・

 

藍銅ツバメ(らんどうつばめ)さん お狐サマが解釈違い 1:02
かろやか。作者がかっこいい
ギャグが普通に面白い 何気ない時事ネタ
おいなりさんが油揚げすきなの知らなかった・・・
アピール文が面白い

 

くまのぶさん 完璧な男 1:05
わかる~。仕事できるやつなんか苦手~。
スカッとするわけでも反転させるわけでもないのに、読ませていく「嫌な奴」をしっかり描いていくという意味ではとてもよくできている感じがする
まぁしかし、他人に気を遣えないキャラでもあるわけだから、実は片岡さん的な人ではあるはず。
ロリ

 

大須健さん 素直に笑えばいいのに 1:07
ゆ、百合になった~~~
「誰かに言われた言葉なの」いいせりふ
笑顔と笑いどころが同時に親譲りという設定について
エッチだったから?それとも痛そうにしたから?は普通にすき


藤原ハルさん きらいなあのこ 1:11
よくできてるけど、陽キャ陰キャという言葉にもともと含意されてるもの以上ではない
「その本おもしろい?」もっとよくならないかな~
9Pの3コマ目から4コマ目、タメも説明もなし、どうなんだろう。全然わかるし、やってもくどいのかもしんない
大きい動きがあるのもいい。話とはそんな関係ないけど
めっちゃ言葉での説明があるけど、全然損なわないよね。商業誌に載ってんのだいたいそうだしね。

 

高月晃太さん 部活だから 1:17
唐突に無理になったってのはやや強引かなぁ。逆に愛嬌を覚えるほうはそんなもん
論破されるロジックとして恐怖は無知からっていうのを導入してるけど、悪くないけどそんなに効いてないかな。キャラ付けとしては良いと思う

 

東京ニトロさん ミイラ対巨大ゴキブリ(船橋編) 1:19
ゴキブリを出せばどう嫌いかの説明不要さが良い。
ゴキブリの大きいという点をフィクション化してるのがいい。
ウィットに富んでるのはわかるけど、最初の会話がわからん。
オチいいと思うし、横転さなくていいと思う。タロスさんがゴキブリ苦手な描写なかったと思う

 

たにかわつかささん たえろっ!富永先生 1:24
かわいいかわいくないの判定が分からん 先生がまともに説明しないのも気になる
かけあいものとしても成立しなくなる
最後の爆発はとってもよい

 

ヤギワタルさん のろまな占い師 1:27
実際にはAI絵師はたたかれてる
AI水晶という発想が良い。スマホのメタファーになるところも良い
若者とおばあさんが一見逆に感じるけど、その意図がわからない
誘うシーンが2回あって、その二回目に大ゴマ(タイトル)を使うのは疑問
ちょっと同じことを言ってるシーンが長いかな
「英語でサイエンスって言うの」なに?

 

ねりけしさん しいたけぐらし 1:33
原木ちゃんめっちゃかわいい
3P最後のコマ、逃げるのかと思った
「めしの時間だ」?
普通においしそう

 

ヤマオカ兄弟さん クズの惑星 1:35
びびった。話も面白い。オチも良い。軽い感じは昔っぽい。
絵に統一感が無いのが気になる(ネームだしね)
23Pある
姿勢が毎回一緒(胸を張ってる)。歩いてる感も出したいかな。
小さい真四角で単調なコマ割りが多い。

 

四日街さん くだらないこと 1:40
1Pの最後に影を見せてもいいかも
4Pでも、しっかり表現できててよかった

 

(話してる途中に上がったため最後)
赤い氷さん マンコーの叫び 1:44
(その場で感想を言ったためメモなし)

ひらめき☆マンガ教室 6期課題1ネーム感想

ほぼすべて課題の感想はネーム審査を見たあとに書いています。ご了承ください。

 

課題1「自己紹介を『物語」にしてください」のネームの感想を書いていきます。

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形井中へいさん「風間さん」

風間さん | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

非キャラ感、非物語感がとても好きです。難しさ・どうしようもなさ・無力感が読み返すにつれ、感じられます。

漫画が上手ですよね。主人公の形井中先生はちゃんと最初から顔出ししたうえで、そこから「風間さん」とタイトルと大きな風間さんの絵を出すことで、しっかりこのあと2人で、そしてどういう関係性で話を進めていくのかがなんとなくわかります。

一度目に読んだときは風間さんの対応を面倒くさがっている先生に対して少し好感度が低めでしたが、主人公の名前が形井中さんそのままになっていると思うと、むしろこういう描写を入れられるのはとても誠実だと感じました。

ひとつ気になったのは、発達障害の列挙は必要なのでしょうか。知らない人からすると知識として面白い可能性はありますが、ASDの話をしているのに他の発達障害はそこまで関係無いのかなと思っちゃいました。

この漫画でおそらく特徴的なのは、風間さんがいわゆるASDっぽいキャラ造形とは少し異なるところだと思います(グレーゾーンだとは言っていますが)。僕はASDに造詣が深いわけではないので、風間さんの方こそが本当はASDの描き方としては本当に近いのかもしれませんが...。だからこそ、風間さんの描かれ方はすごく良いなと思います。

そしてだからこそ、「あの子は自閉症スペクトラムだね」の前に「おそらく」といった、断定調を避ける表現があった方が、(ASDってこういう感じなんだ、という風ではなく)風間さんというキャラクターを見れたのかなと思いました。センシティブなところですし、素人の僕が大きく間違っている可能性は当然あるのですが。

 

明青りんご(あおりんご)さんの「Listening Test #1」

Listening Test #1 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

ボウズのキャラが良いですよね。「好きで翻訳してるわけじゃない」というような台詞があるのも好きです。

はじめ読んだときは冒頭とラストの現代篇は必要か疑問だったのですが、ネーム審査時に本編の読み味が振り返る感じだから、というのを聞いて納得しました。ただ現状ではやはり「なんで必要なんだろう」と思うほどに、現代篇が作品への関与が小さいのかなとも思います。「変か?」の反復は良かったです。

ネーム審査では、親の声だと分かりにくいという指摘がありましたが、僕は全く気になりませんでした。とくに11ページの親の声がコマみたいなサイズのあたりはとても素敵です。

ただ、場面転換が多いなと思いました。特に15年前に行くのにすぐに「涼!」と呼びかけるところが来ます(そしてこれは時を飛ばすのに使われることが多い演出だと思いますが、飛ばしていない)。そして土手に行き、家に行き……。しかしよく考えたら短い漫画でも色んなロケーションがあるのは変でもないと思いますが、なぜこの漫画に限って場面転換が多いと感じたのか。もしかしたら移動を表現するコマがほぼ無く、縦長の長さが変わるコマを使っての場面転換が多いからなのかもしれません。しかしまた考えたら「振り返る感じ」の読み味のマンガなのだから、場面転換が多くても良いのかもしれません。

タイトルを見て、そういえば英語のタイトルの漫画ってあまり無いなと気づきました。またなぜタイトルがlistening test #1なのでしょう。理由を考えていたら、この時代はまだ歌詞が手に入りづらかった可能性に思い至りました。確かに聞き取りの上で翻訳してますね。歌詞が手に入りにくいということが分かる描写、例えばボウズが「中々歌詞聞き取れなくてさ」などがあっても良いかもしれないと思いました

とても細かいところですが、1頁目で、ボタンではなくCDトレイを「カチッ」と押して上で「ウィーン」と自動で閉まっていくものってあるのでしょうか。

 

アキオさん「薬が切れた」

薬が切れた | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

薬が切れて苦しくなる感じと、この漫画の言葉の少ない無機質さがとても合っていているのが良いなと感じました。キャラクターが苦しそうにしてる感じの表現力が仮に低くても、作品の雰囲気的に問題無さそうに感じます。

ネームと原稿で変わるかもしれませんが、1頁目の「薬が切れた アキオ」が「タイトル 作者」ではなく「状態 キャラクターの名前」だと思い込んで最後まで読みました。「東京にあこがれる少女 三葉」的な。タイトル入ってないなと思ってました。

小林君は語学で同じということなので、大学生だと思うのですが、大学生って近所の公園で大学の友達出くわすことってあるんでしょうか。ただこの程度の都合の良さは、話の内容を考えれば問題ないかもしれません。

ネーム審査でも言及がありましたが、最後はもう一つなにかほしいと思いました。冒頭でほしいといったものが手に入った、だけではオチとして成立しにくいと思いました。

 

赤い氷さん「彼女は妖性」

彼女は妖性 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

2ページ目の人形の不気味さはかなり良いと思いました。なるほどこれは変態の話だという説得力がかなりあります。不気味な人形からの「もぞ」の多さに笑ってしまいました。1頁目3コマ目のの懺悔室?と2頁目1コマ目の大きさが合ってないように感じました。合ってなくてもいいのかもしれませんが。

「木村さんは生徒会長だからスーパーボディで」の意味のわからなさが好きです。

読み返して気づいたのですが、3頁目の5コマ目の写真は誰なんでしょうか。彼女の写真が原因で萎えてしまったようにも見えるのですが、ヒロインはここに写真が貼られていないことを思うと、回収されていない伏線のようにも見えます。

4頁目の1コマ目もインパクトがあって好きなのですが、この絵が印象に残る分、このヒロインの名前が「赤雪」なのかと、なんとなく誤認してしまいました。一方で「春田・・・さん?」のときは後ろ姿なので、名前と顔のセット感が薄いと思いました。

またマドンナ的存在であれば、初登場時は目がガンギマリなのではなく、いかにもマドンナ的→春田さんがやばいと分かるシーンで目がガンギマリになる、という風でもギャップがあって「お前も変態なんかい」っ的な演出ができるかもしれないなと思いました。

5頁目の中段、これ赤雪君なのですね。春田さんかと勘違いしてしまいました。構図も表情も吹き出しの配置も問題ないと思うのですが、なんででしょう・・・。完成絵になれば変わるかもしれませんが、背景の違いなのか(次のコマでは赤雪君の後ろが明るく、春田さんの後ろが暗そう)、シーン的に背景黒でも問題と思うのですが・・・

その後の展開ですが、明確に「懺悔室を出た」と分かる描写があるとより良いのかなと思いました。また一緒にイってるとのことですが、確かに心臓が移っている描写はあるのですが、しかし絵的には主人公の胸から出ているので、できればすぐにそうと分かる描写があっても良いのかなと思いました。

 

阿山カンフーさん「ジョウンデー」

ジョウンデー | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

人数も多く、一度ではあまりキャラも覚えられないですし、話の盛り上がりどころもいまいちつかめないのに、なんだかとても不思議な魅力にあふれた作品でした。なのでむしろ読みやすくわかりやすくしてしまうと、逆にこの魅力が損なわれてしまう可能性もあるんじゃないかと思いました。

エッセイものの中で唐突に会社のパンフみたいなのが来たときは「これは読むべきなのか・・・!?」みたいな気持ちになりました(笑)。他の頁ではあくまで人間関係ものなので、仕事要素は別でまとめたと思えば気になりませんでした。

4頁目の目のドアップ、不安や疲れを表しているのだと思いますが、作品全体の雰囲気に対して過剰に意味深なのかなと思いました。完成原稿ではまた雰囲気が変わってくるのかもしれませんが。4頁目の後半の細かい割りは必要なのかなと思いました。あまり雰囲気づくりの足しになっているようには感じませんでした。

8ページ目の「左手はマナーなんですね」はどういうマナーなのかわかりかねました。が、最近鈴木先生を読んだので分かりました笑

ネーム審査のときに最後の頁は書かなかったということだったので、締めはわかりませんが、最後は別れをやるのがベタなのかなとは思いますが・・・。

 

 

ばやしあきやさん「はかせの一生」

はかせの一生 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

前半がわからないまま進むのがとてももったいないと感じました。隕石とはわかりませんでした。ネーム審査のときにおっしゃっていた、政府が外に出るなと言ってる、という話などが全く描写されていないので、なぜヒロインだけが止まっているのかもわかりませんでした。またヒロイン以外にもそれなりの人数が止まりそうにも感じます。

16ページで収めるには難しそうに感じますが、話はとても好きです。セカイ系的で明快な理路がありますし、ヒロインも「はかせの一生」を描くにも、それを直接見聞きしたわけではないというところも切なさがあります。

また、内容が多いだけあって、1場面1ページという印象があります。なのでむしろスマホで読むのに向いてるかもしれませんね。しかし開いて読むことの醍醐味を感じたいなとも思います。

難しいとは思いますが、2ページ目の入りが紙芝居でやってる感が出せたら、より良かったなと思いました。また1ページ目で指輪してるんですね。カットインなどで分かりやすくしても良いかもしれませんね。

 

深田えいひれさん「TOMORROW」

TOMORROW | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

テーマもモチーフもベタですが直球のものを描いていて、すごいなと思いました。動けない主人公を動かすために会社都合退職を使ったのはとてもうまいと思いました。現実という言葉を揺るがしてるのも大変良いなと思いました。現実主義なんて言葉がありますが、その相対化がしっかり出来ていると思います。

14ページ目→15ページ目の流れは一最初に読んだときはわかりませんでした。なにがきっかけで急に前向きに?となりました。読み返したら、レイプ目→明るい気づき顔なので、ぎりぎりわかりましたが、表現としてお約束依存性が高く、そのお約束がたまたま引き出せた人以外読解できないかなと感じました。

退職を引き留める「もう一人の自分」の「あなたの勇敢な決断であなた以外誰も得しないじゃん♡」というセリフがとても良かったです。実際に悩んでいないと出てこないセリフだと思いました。

これは好みだと思いますが、表紙にも使ってることですし、タイトルも"もう1人の自分"というモチーフから決めた方が、なんとなく通りが良い気がします。ネーム審査で、この演出ではもう1人の自分だという表現だと確定していない、というような指摘があった気がしますが(うろ覚え)、タイトルに入れてしまえば問題無いかもしれません。

 

ぼんち。さん「お兄ちゃん、ごめんね。」

お兄ちゃん、ごめんね。 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

めちゃくちゃ好きです。日常から始まって家族のダークな話になっていくのが、マンガの表現とよく符合してると感じます。

細かな指摘がほぼネーム審査でされていたので、ほかに気になったとところでいうと、僕の想像力の問題なのかもしれませんが「かくいう私はあの時兄を見捨てたのだ」が具体的に何を指しているのかがわかりません。兄に人として期待するようなことを言わなくなったり(例えば叱ったり甘えたり)、腫物のように扱ったりする(タイトルコールのところでも何度も謝ったように)ことでしょうか。それは刺されるほどの因果なのでしょうか。母に事件性のある暴力をふるっているのだから、自己防衛的にふるまうのは仕方がないことのようにも感じます。責任はあくまで兄にあるように思います。そうであっても家族だから罪悪感というのは感じてしまうのかもしれません。

主人公がとにかく可哀想な目に遭っているにも関わらず、兄を糾弾する等の描写が無いのが、いまいちピンとこないような気がします。マンガが上手なので読めてしまうのですが。

さらに水がかかった程度で最後の糸が切れてしまう兄、全然「何でも許してくれ」ないじゃんって思いました(4頁目の左上の言葉)。

 

中山墾さん「満願寺さんのワンナイトハッピーアワー」

満願寺さんのワンナイトハッピーアワー | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

とってもエロくてよかったです。また最後まで半額と安売り、そしてそれに囚われているのはあくまで主人公側というのが一貫してて良かったです。個人的な好みとしては女性が脱ぐ理由に説得力がある方が好きですが(というか理由そのものが一番エロいと思っています)、説得力が薄くとも女性がぐいぐいくるものっていま世の中溢れているので、題材選びとして間違っていないと思います。

最後の女性の裸がとってもエロくてとっても良いのですが、それが2つとも同じ仰ぎなのが、もったいないような気もします。

細かいところですが、1頁目の半額のお惣菜を写真に撮って「これが、ぼくのささやかな幸せ、か」で「SNSにでも毎日投稿してるのかな?」と思ってしまいました。これがマッチングアプリのプロフィールにしている伏線だと思いますが、僕は正直、、、無くてもいいんじゃないかなと思いました(難しい・・・)。あ、でも次のマッチングアプリの画面へのつなぎにもなってるんですね。うーん。

また、6頁目の「え?ま?!」は、マッチングアプリのプロフィールを”半額”にしていることを知っているとのちに明かされるので、ここで驚くのは少しだけ変ではないかと思いました。ただ、ギャルってリアクション良くてなにかと驚いてくれるからまぁそんなものかな、とも思いました。

少しだけ疑問なのですが、このギャルが働いているという設定は必要なのでしょうか。働いている方が半額好きという設定に厚みが出るのでしょうか(僕が金銭感覚がルーズなせいでわかっていないのかもしれません)。

 

ひむかさん「はじめの一歩」

はじめの第一歩 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

漫画がとても上手だと思いました。過去に読んだ漫画の良いシーンが思い起こされるようでした。この構図僕も好き!いいよね!となったところが多いです。そしてマンガとして違和感なく、このメッセージを7ページで描けているのが本当にすごいです。

子供とおばあちゃんのやりとりもので、自殺とバレエの一歩を踏み出すの意味の書き換えというのも大変良いです。しかし医者に長くないと言われ、自殺を試みるというと若者のイメージがあるのかなと思いました。先が長くない高齢者の割にはかなり元気なのかなみたいな。

アピール文を読んで気になったのは、「アスミは未来側(現在)の私です」とありますが、話としてはお婆さんが前向きになる話で、アスミはこの物語においては内面が描かれていない案内人のため、そういう話になっていないのではないかと思いました。

アスミのキャラがめちゃくちゃ良いですよね。ただ案内人になっているのではなく、無口で仏頂面であること、そして自分が得意なところで得意になるところで個性が出ていますし、子供だというのにも説得力があります。

4ページ目の中段に、アスミの身体にひねりを入れているのが、ここまで棒立ちだったことが活きていると思いました。ただ「綺麗なドレスね」というセリフの前に小さくてもドレス全体が見えるコマが有ってもいいのかなと思いました。

バレエ教室にいざ来てから動けなくなるのもリアリティがあってよいです。6ページ目の下の段すごくいいですよね。一歩間違えればオヤジギャグになりそうなのに、グッとくるところにこの作品の力を感じます。ラストの幻視もしっかり物語を終える力があるコマだと思います。

 

 

ほりい泉さんの「あなたの推し売ります」

あなたの推し売ります | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

なかなか奇抜な設定に驚きました。僕は「世にも」を見たことがないので、なるほどあの番組はこういう面白さがあるのかと思いました。また僕は推し活なるものをしたことがないので、共感こそできないですが、知らないジャンルのものを見るような新鮮さを感じました。

アピール文では「自分の言いたいことをぎちぎちに詰め込んだ漫画になってしまった気がする」とありますが、僕は正直気にならなかったです。情報量が多くて読みにくいとは思いませんでしたし、ドタバタコメディとして楽しく読めるくらいの分量に感じました。また「言いたいこと」でいえばラストに一つ芯の強い主張があるので、「言いたいことがいくつもあってよくわからない」とはなりませんでした。

ただ、これは僕の好みですが、最終的に”正論”によって話が良いものになる、とくに”正論”という言葉そのものが出てきて、作品内でアイロニカルに扱われていないことに、ややひっかかりを覚えてしまいました。主人公の推しという感情をひっちゃかめっちゃかにすることで、推し活に依存していた主人公を解きほぐすというのはわかるのですが、啓発セミナーと似た構造になってしまっているような気もします。ただ、実際的に何かの気づきを与えるのは疲弊+正論なのかもしれません…難しいです。

 

chiゲ鍋さん「噓のつき方」

嘘のつき方 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

就活の面接の緊張感がありつつ、基本コメディとして読ませるものになっていたのがとても良かったです。特に彼女の設定をまくしたてるシーンはとても好きです。読んでてひやひやしますし、緊張感がうまくコメディになっているシーンだと思いました。

ただ、僕はそこまで就活を頑張った方では無いと思うのですが、それでも就活経験があれば、あまりピンとこない部分があるんじゃないかと思いました。たとえば「学生生活で一番うれしかった思い出は?」はほぼテンプレ質問だと思いますし、オチの「会社も嘘をついている」というのも「まぁそうでしょ」と思ってしまいました。つまり就活をしたことがない、あるいはあまり覚えていない読者であれば、話として構成がしっかりあって良い感じなのだと思うのですが、しかし就活経験がある人は具体的な部分でひっかかってしまうのではないかと思いました。

1頁目の3コマ目、よく見ればわかりますが、一瞬「?」となってしまいました。あまり見ない構図というのもあると思います。僕は膝を折りたたんでいるのかと思いました。原稿の絵であればまた変わるのかもしれませんが。

また、僕が読み飛ばしすぎなのかもしれませんが、3コマ目に引きずられて1,2コマ目が半ば「捨てコマ」な感じになるので、「智下」という名前は2頁目以降も出してもいいんじゃないかと思いました。例えば4頁目のテンプレ質問2の「あなたが~」の部分を「智下さんが」にすると名前を憶えやすいのかなと思いました。また(本名と関係があれば大変失礼ですが)「智下」ってなんて読むんだろうと思いました。あまり見ない名前なので、読み方が自明でないとあまり脳に定着しづらいのかなと思います。ルビだけでもあると違うのかなと思いました。

2ページ目で進化論的に、つまり人の成長の最終形態として就活があるように描いているのですが、一方で就活は嘘を通す場だと言っています。この微妙なギャップがこの物語の最後で突かれるのかなと思ってしまいました。進化論的な絵は無い方がいいかもしれないと思いました。

 

あい乙いなびこさん「図に乗る息子」

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雰囲気から話から演出からとても独特で、なんというか、一コマ目の橋からそうですが、江戸時代っぽさがなんかありますよね。3コマ目の家も、この絵だとあまり現代日本っぽくないですし。

フィクション(嘘)を通して意識が変わるタイプの話としても読めると思うのですが、それが子供の嘘や、子供が好きな金ぴかでゲームの小道具だというところも大変良いカードの出し方だなと思いました。

人のためにモノを欲しがるというのも、優しさの描写として説得力があって良いと思いますし、それがそのまま貴族意識というものに変わっていくのも、上手いだけじゃなく、テンプレではない子供っぽさが出ているなと感じました。

また橋の作者(建築家?)みたいなものがいるっていう話なのも、(実際のところは居るのでしょうか?明石大橋みたいな大きな橋には居るでしょうが)あまり思いつかない子供っぽさが出ていますし、やっぱりなんだか江戸時代感を感じます

最後にひとつだけ多くの人が気にしないであろうことを言うと、逆立ちというのは、顔が上向き(つまり床向き)でないと倒れてしまいます。ただマンガでは正面を向いているというのはとまぁまぁよくあると思いますし、リアルじゃなくても違和感が無いのはまさしくフィクションの力で素晴らしいものだと思います。

 

やながわけんじさん「土日のふーん」

土日のふーん | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

ヒロインの女の子の絵がすごく好きです。キャラも良い。11ページの「でた!!」も好きです。

土曜日の「ふーん」が、主人公にとってショックなことだと気づきませんでした。直後には言葉による説明もありませんし、表現としても控えめだと思います。4ページも後で「関係が壊れた」と言葉による説明が入ります。雰囲気も大事だとは思うのですが、もう少しだけ分かりやすくしてほしいと思いました。また最後でもやしが不味いと感じてることは分かりませんでした。これは完成原稿次第ではあると思いますが。

細かいところですが、4軒くらいしか入らなさそうなアパートってあまり馴染みが無いなと思いました。田んぼによって田舎であることを示すのとアパートを見たときにノイズ無くアパートだなと思うことを絵だけで両立させるのは難しいかもしれませんが。実際に無さそうなアパートであってもアパート要素をしっかり描かれているので、クリシェ的な面白アパートというのでも有りかもしれません。

一平ちゃん食べたくなってきました。

 

桐山さん「深夜徘徊」

深夜徘徊 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

さやわかさんも言ってましたが、コロナを話に組み込んでいるのは興味深かったです。単にマスクをしているというだけじゃなく、話にちゃんと組み込んでいるのが良かったです。これもさやわかさんが言ってましたが、最初の2ページたっぷり使って深夜徘徊をスタートするところはとても良いと思いました。

僕が勘違いしてるのかもしれませんが、全体的に縦長な感じがします。とくに7ページ目は気になってしまいました。こんなもんなのでしょうか。それともそういう媒体があるのでしょうか。

女の子がモブっぽいという話があったのですが、僕はそんなに気になりませんでした。特別キャラが立っているとは思いませんが、スクールカーストのトップが以外と落ち着いた感じなのは映画「桐島、部活やめるってよ」の桐島の彼女もそうでしたし、全然有りだと思います。

あと「水谷って結構いいやつやねんな」って最初なんのことかと思いました。読み返すと「家までついてく」だと分かるのですが、「家まで送る」というのは下心もあると見られてしまうような台詞だと思うますし、「いいやつ」のキャラ付けはそんなにうまくいってないのかなと感じました。

また作品が全体的にギャップ萌えを狙ってるように見えるのですが、であれば前半で倉本さんに怖い等のネガティブな印象付けをもっとやった方が良いと思いました。

8ページ目の「見て」のところはこの漫画の一番の「おっ!」ポイントだと思うのですが、もっとタメが欲しかった感じがします。直前で肌の汚さを気にしてるというのも、コンプレックスの話であると同時にコロナ禍も掛かってるちょっと強めのパートだと思うので、そのあともうちょっと間が欲しい気がします。

 

mangatime007さん「ひらめき☆パーティー

ひらめき☆パーティー | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

ネーム審査の際には、「ネームの内容は自分がわかればよいと思った」と仰っていたと思いますが、ネームを見る限り、主人公、ヒロインなど矢印で示していることが多く、ちゃんとほかの人にもわかるようにしようとしているようには見えます(「効果線」や「全ページ使う」などはただし書きが無くとも分かるかなと思います)。ただ、このネームを見ても完成原稿のイメージはしにくいかなと思います。

また、モンスターのデザインも全く描かれていないのですが、それもこの作品にとって大事になってくるのかなと思いますので、完成原稿が楽しみです。

2ページ目の「何千回目だができるか?」は何のことなのでしょうか。これが話の最後まで何かに絡んでいるようには見えません。また「地蔵の舞」と技名を叫んでいますが、技と技名は同じコマか、技名を叫ぶコマの次のコマくらいには技があると良いのかなと思いました。なので、5ページ目の技を発動しているコマで「地蔵の舞!」とするか、その一つ手前の下のコマにあると良いのかなと思いました。

この作品だけではヒロインが転生者であることを、ここで提示する必要が感じられませんでした。また、主人公がパーティに入りたい理由も分かると良いなと思いました。

そういえばヒロインの名前が出てこないですよね。基本的には主人公と2人の話だと思うので、基本的にはあった方が良いのかなと感じました。名前が出てこないことに何か狙いがあるのであれば、その狙いが読者にわかる感じだとよいのかなと思います。

 

七井一汐(なないつ)さん「初見」

初見 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

個人的に思ったのは、吹き出しのうち、コメントのところは横書きでもいいんじゃないかと思いました。そうすればコメントなのか喋っていることなのかの区別がつきやすいかなと。ただその場合は吹き出しの形が大きく変わるので、もしかしたら悪くなる可能性もありますが・・・。たしかに読み上げソフトもあるという意味では縦書きでもいいのかもしれません。

用語解説を入れるかどうかについてですが、僕は初見時には184とかは解説があった方がいいと思ってしまいました。ぼくがニコ生に触れたのは少しですが、知ってるから逆に書いてほしいなんて思っちゃいました。

例えば「ガチ恋粘着獣」というマンガがあり、これはユーチューバーにガチ恋する話で、題材的にはまぁまぁ閉じている(それでも今時ユーチューバーはかなり知名度がある(国会議員にもなっていますしね)のでそこまで閉じていないのかもしれません)と思いますが、この20話で「※垢=アカウント」という注があります。僕にとってはこんな注は無くとも意味はわかるのですが、注があるとむしろ「良いな」と感じてしまいます。つまりある種の突き放しが作中にあった方が、むしろ読者は没入できるのではないかと思います。また人は読んでいるときに「ほかの人も読む」という謎のメタ意識が働いてしまうように思います。

しかし好みといえば好みな気もします。閉じている方が良いと感じる人もいるでしょう(ちなみネーム審査のときに「初見」がスラングだという指摘があるまで、そうだと気づきませんでした。僕はとても閉じています)。

またラストは独り言とはいえ、あまり口にしないようなことなのかなと思いました。唯一の主人公のセリフがあまり口にしないことなのが良くも悪くも不思議な読み味にはなっていると思いました。

 

藍銅ツバメ(らんどうつばめ)さん「推しの声の怪」

推しの声の怪 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

発想がすごく良いですよね。とても面白いアイディアだと思います。

見た目がキモくて、声が可愛く、セリフ反復する系のゆるふわマスコットキャラ。ただ声の可愛さは一切マンガというメディアでは受け取れないのですが・・・(笑)。一方で、作品内の良さを受け取れないという不思議な読み心地にもなってると思います。

1ページ目の「すべての始まりだったー」とあるのに、怪が出てくると生配信に出たのが関係無いのが良いです。また「長田いより」の名前が、声優さんの顔の近くにあると、4ページ目の「VC長田いより」が最初の声優だと飲み込みやすいと思いました。

2ページ目の驚くシーンですが、受け入れるのが早いなと僕は感じてしまいました。もちろん、急に非現実なものが現れるモノで、序盤の驚くシーンが長いと「はいはいわかったわかった」ってなる可能性も高いので、難しいところだと思いますが・・・(僕は「あの花」の一話でお化けメンマが登場したときの主人公の反応であっても、もっと驚いてほしいと感じたタイプなので・・・)。

はじめ読んでるときは気にならなかったのですが、ラストはなぜ「本物がどこか空しい」なんだろうか。なぜ怪は殴られて言葉があふれ出るのだろうか。なぜ怪は長田いよりを食べようとしたのか。なぜ「本物は全然ちげーわ」なのか。と考えると、これってもしかしてイマジナリーフレンドものとしても解釈可能なのかもしれないと思いました(あまり自信はないのですが)。

「すべてのはじまりだった」もそれなら全く道理ですね。また最初の驚きが短いのも納得いく気がします。最後のページの「せんせー”さっきから”一人でなにしてんスか」はネタバラシということになりますね。イマジナリーフレンドっぽさもありつつ、そうと明示しないというのも、とても良い雰囲気を作ってるのかなと思いました(となりのトトロとかもそうですしね)。

 

くまのぶさん「doWa

doWa | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

これは風が存在しない世界なのでしょうか。難しいですが、冒頭で「これは風が存在しない世界だ」と匂わせて、最後に繋がるのであればわかるのですが、これでは最後に「風が存在しない世界だったの?」という読み味になってしまうと思いました。確かに巨木があると書いてあるのですが、即座に風が無いとはならないと思いました。

更に主人公は根無し草のように描かれていて街から離れたりしてる行商人のようにも見えるため、「風がない」世界観として出す設定としてはラストの開放感が薄いようにも思います。自分がふわふわしているから風をモチーフにした、という話だったと思います。作中ではふわふわした主人公がdowaの行動を見て心改めるという流れですが、ふわふわしてる主人公も風でdowaも風のため、風→風になっていて変化を描きにくい題材になっていた可能性があると思いました。

内容的に16ページで収めるのは難しく、前半は詰め詰めになった印象でした。ネーム審査の際に、ファンタジーは世界観を作る必要があるからハードルが高いという話がありましたが、コマを小さく区切るとそのファンタジー世界の雰囲気を伝えるのも難しそうに感じました。この物語のファンタジー自体はとても素敵なのですが、伝えることの多さを思うと、短いページでは本当に難しいのでしょうね。

細かいところですが、1頁目の5コマ目は何をしているところなのでしょうか。2頁目の「幽霊じゃねぇだろうな」ですが、モノが動いていてなぜ幽霊だと思うのでしょうか。

4頁目の「ビュー」のコマですが、何が起こっているのか分かるのに数秒眺めてしまいました。はじめは鉄砲の弾を避けているのかなと思いました。コマ割りは好きです。

ラストの心象風景はいままでの舞台と関係が無いので、なにか関連付けたものの方がよいんじゃないかと思いました。

 

大須健さん「小麦アレルギー男の必勝デート計画!」

小麦アレルギー男の必勝デート計画! | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

オチがすごく好きです。「そんなことある!?」って口に出してしまいました。僕が食に疎いせいもあるかもしれませんが。最高のオチだと思います。ちゃんとパン好きだということも効いていますし。

全体的に勢いがあってぐいぐい読めてしまうのも良いです。

「私だっていろいろ今日のこと考えてきたんだからねっ!」のように、相手の立場も少ない分量で表しているのも良いなと思いました。

最初の2ページが少しだけ気になりました。気持ちよく読めるので、おそらく問題ないと思うのですが、最初にご飯を食べている必然性が低いようにも思いました。

ネーム審査の際に、「マンガだと面白くならないタイプの話」ということを武富さんがおっしゃっていたと思います。妄想メインで進むのは確かにあまり見ないような気がしますが、僕はそうは感じませんでした。なぜそうなのか気になりますね。

あと名前が少し気になりました。途中でカタカナのマイコさんになりますし、舞妓さんをどうしてもイメージしてしまいます。パンの話である分、ギャップはあるのかなと思いましたが、名前で人の意識にひっかかりを覚えさせるのは、意図してなければマイナス要素になりうるかなと思いました。

 

藤原ハルさん「さいごの散歩」

さいごの散歩 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

タイトルコールの出し方や、タイトルロゴがすごく素敵です。そのあとの数ページでだんだん犬が死んでいることが分かってくるのを演出しているのがとてもすごいと思いました。作者は当然初めから死んでいることは分かっているのに、読者に「だんだん気づかせる」という風にコントロールできるってすごい!「だから抱えてるのか・・・」的な。

過去のエピソードが「たま!きゃー助けて!!」のように明るいところがあると、全体がしんみりしすぎず、だからこそ、しんみりするシーンが生きてくるのも大変良いです。

はじめ読んだときは10ページ目で一度現在パート挟む必要あったのかなと思ったのですが、その直前のめくりから少し悲しさを出して、後半ぐっと悲しくなっていくという演出はとても良いと思い直しました。ぐっと辛いシーンからのキレイな桜!めちゃくちゃうまいですね!綺麗さを出すことで悲しさを強調する。「春望」みたいなやつですね。時間経過の伏線も最初に白髪で出してあるし、もう完璧なのではないか。そういえば「春望」も白頭出てきますしね。

モチーフが死と桜なのは西行法師や梶井基次郎などが有名らしいですが、やっぱりすごく合うなと、この作品を読んでも実感しますね。

うまく言えませんが、人生の悲しさを感じつつも、人生そのものは感情ではない----そういったものを感じ取れる素晴らしい作品だと思いました。

 

高月晃太さん「404 Not Found

404 Not Found | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

「CICADA」っぽい読み味のあるマンガでした。アニメ画像やマンガを石板として出すことの無説明が良くも悪くもこの作品の特異性が出ている気がします。

ネーム審査のときに「ネット画像を探していることの比喩」だという話がありましたが、それは僕も全く気づきませんでした。なるほどそれが分かれば古さと新しさを掛け合わせた面白さが出るように思います。そうと分かるように書く方が僕は好きかなと思います。

しかしそうなると、原住民は何に対応しているのか(ウィルス?)、といったことや、逆に隕石の飛来は比喩なしでは突然すぎる、ということなど、比喩と比喩なし両輪でかみ合わせていくことが大事になってくるのかなと思いました。指令をした機関が最初だけしか出てこないのもバランスを欠いている可能性があるなと思いました。

理性ちゃんもあまり活きているようには見えませんでした。いなくても話に影響がないように見えます。

また主人公が404の場合、「404 not found」は「404が見つからない」ということなので、404が行方不明になる等でないと、タイトルと内容が一致しないかなと思いました。

 

東京ニトロさん「091101」

091101 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

最初に読んだときは「描かれずに終わった」という印象でした。「歴史を変える物語だ」と言っているのに、と。おそらく現実の事件が映画の中に移ったため物語内現実はそれが起きなかったということなのだと思います。しかし、起こるはずだった事件を映画に置き換えるための具体的な設定ないし行動の描写が作中にはありません。

最初の祈りは、一見関係なさそうですが、テーマに近いのかなと思いました。

6ページ目の最後のコマの、目に映像を反射させるところから、トレーラにも近い演出で歴史が書き換わっていきます。8ページ目の2コマ目の信号が伸びてるところとデジタルっぽい空、そして3コマ目の空の感じから、ここで改変描写になってくるのかなと思います。しかしこの作品においては、最初からNYパニック映画がレンタル販売されており、ここで書き換わっているとしても少し変だと思います。

全体的に、すごい良い感じの作品を読んでるなという雰囲気は伝わってきますし、それだけ漫画で読者を圧倒させていく演出が上手なのだと思います。しかし例えば9ページ目は何をしているのかよくわかりません。ベタレベル(物語内の水準)でも主人公がこの表情にどういう意味があるのか分かった方が良いと思います。

 

たにかわつかささん「委員長のテキトー円花」

委員長とテキトー円花 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

ギャルものって、ギャルばかりが強いイメージがあるので、委員長の堅物さがギャルにも負けないキャラとしての強さがあるのが良いなと思いました。そういう意味では「ポンコツ風紀委員とスカート丈が不適切なJKの話」っぽいな、ネーム審査のときに好きって言ってる人いたなと思ったら、違う人でしたね。

全体的に大ゴマが多くて、とても気持ちよく読めるのがとても好感が持てます。2ページ目の箒を股に挟んでるのめちゃ良いですよね。ギャルの解像度を感じます。

掃除する/しない・ホームラン打つ/打たない・ピアスが無い/見つかる・チクる/チクらないのロジックが凄く通りが良く、何気ないシチュエーションに見えて頭脳的な漫画になっているのが凄いなと思いました。

ただオチが読みやすいなと思ってしまいました。掃除してたら無くしたピアスは見つかるだろうな、と思うので、もうひとひねりあるのかと(おそらく無意識に)期待しました。「カドに」というのがひとひねりと言えばそうなのですが、、、、掃除といえばカドですからね。

細かい話ですが、教室って「奥」と「入り口」なんですか?「前」と「後ろ」だと思ってました。また、ピアスを「さっきまでつけてた」のであれば、先生から隠しているっていうのと合わない気がします。

そういえば、(この漫画に限りませんが)フィクションだとよく見かけるけど、クラスメイトのうち少人数で掃除をすることってあるのでしょうか。遠い記憶ですが、小中高とどの掃除もクラス全員参加だったような気がします。それでも二人っきりのシチュエーションであることに違和感を持たせないのがフィクションやジャンルの力なのかなと思いました(リアリティが無くて良くないと言っているのではなく、むしろフィクションだからこそできることで、リアリティがあるより良いということを言っているつもりです)。

 

ヤギワタルさん「忘れもの」

忘れもの | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

映画監督になりたいという目的が最初に提示されていますが、目的が定まらないからこその現実遊離的な物語だと感じました。

またラストに撮るだけでもダメ、とありますが、実際に撮っているのだし、そんなにダメなのだしょうか。むしろ最後の大ゴマは(構図的には良い感じなのですが、)「作りたいと思っているだけ」のコマのようにも感じるので、実際に撮っているその前の方が、話の主旨としては”ダメ”じゃないように感じます。少ないページでやるのも変かもしれませんが、小さな作品とかを作った、ないし実際に手を動かしてる様子で終わった方が、主旨に合う気がしました。

また全体的に人物のメインの絵が薄い線で支配されてしまう作品になりそうなのが、この作品の弱点に見えます。実際の原稿を見るとまた変わるのかもしれません。

ただ、フィクショナルな体験を通して、なにかちょっとだけ変わると良いな、というタイプの作品は好きです。忘れ物が多い、というところから意識だけ離れてしまうというのも、ありきたりすぎることもないし、全くついていけないということもない良いアイディアだと思いました。

 

ねりけしさん「予想外のおしぼり」

予想外のおしぼり | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

普通によくできていて、マジで何も言うことが無いなと思いました。人気ブログのマンガですごくよくありそうだし、おそらく想定しているものに対して、とても丁度よいものがしっかり描けているのだと思います。プロ意識が感じられました。

細かいところですが、3ページ目の1コマ目→2コマ目で、ネコちゃんが平ぺったくなっているぶん、一瞬マットごとぐるぐる巻きになったのかと思いました。完成稿ではまた違うのかもしれません。

おセレブヨガと安いヨガの講師の雰囲気の違い(安いところだと元気)も知れて興味深かったです。

また”シャワーソナ”が分からなくて検索しましたが、出てきませんでした。しかし”シャバーサナ”なら出てきました。外国の言葉なので言い方は複数ありそうですね。マンガの話ではありませんね。

 

ヤマオカ兄弟さん「誰かが見ている」

誰かが見ている | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

絵が完全にスヌーピーで、そこにぐっと惹かれました。しかし最後の頁を見ると、浅野いにおっぽい絵になっていて、これは同じ絵柄なのかな?と思ってしまいました。完成原稿が楽しみです。

カメラやまなざしの加害の話だと思います。テーマ的には最近では「フェイブルマンズ」なんか近いのかなと思いました。緩い絵柄で厳しい話をするのは「ペリリュー」っぽさを感じました。ただ、加害の話を緩い絵でやるというのは、こう、倫理的な難しさをはらんでしまうような気が・・します(そうでもなければ読むのに辛すぎるのかもしれませんが・・・)。しかしもし最後のページの影を重くしたような絵になると思うと、むしろ良いのかもしれません。

話はとても辛く、とてもよくできていると思います。どんどん妻が狂っていくのがエッセイ風なスタイルにピッタリだと感じました。そして狂っていく様の容赦の無さがすごく良いですし、妻の主張にもしっかりロジックがあるのがリスペクトがあって好きです。ラスト救いが無いのも良かったです。

13ページ目(最後から3ページ目)の、「確かに僕は」「じっと見て、こうやって」「マンガのネタにしてる」の部分について。最初読んだときは話の辛さに対してこの”根拠”の部分が弱いなと感じました。しかしよく考えると、主人公は映像関係の職業で、場面的に妻がいないところで「こうやって」と書いていることから、ここでの「僕」は半分作者のことを指していると理解しました。すると次の頁の「理解しがたい妄想」が半分はこの作品自身を表しており、最後の2ページは虚実入り混じった表現としても読めました。そう思えば、このオチはとても良いと思いました。ただ、ここまで直接的なメタ表現は一度きりのワザかなという気もします(笑)。辛すぎる出来事に対してメタなオチをつけるのは最近だと「タコピーの原罪」でも使われていましたね。

 

四日街さん「ざっくりマンガ講座」

ざっくりマンガ講座 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

「ゆっくり」の言ってることが、そこまで大きくおかしなことでもないと感じたので、その点がいまいちコメディに乗り切れない要素になったかなと思いました。もっとめちゃくちゃなことを言ったほうが作品のコンセプトには合いそうだと思いました(例えば僕は最終的にマンガになるのであればAIをふんだんに利用するのは全然有りだと考えています)。

ただ、毎度の様々なリアクションも、引きも、めくったあとの絵も、構造としてとてもよくできていてとても楽しく読めました。とにかく豊富なリアクション表現がこの漫画の醍醐味にしっかりなっていると思いますし、とにかくリアクションをこれでもかとふんだんに入れているのがとても良いと思いました。

あと個人的にですが、ChatGPT(GTT)をだすのであれば、stable difusionの名前があると、chatgptほどその名前が広まってない分、あっても素敵かなと思いました。また、AIによる画像学習は日本においては著作権が一切適用されないそうなので、そのあたりも絡めると、よりゆっくりがうさんくさくなって良いかもしれないと思いました。

 

 

・あとがき

何とか間に合ったー。次回から文字数減らそうかな。